殆どの人が高校入試の国語の問題で、「本文中に引かれた傍線箇所について、最もふさわしいものを後のァ〜エから選びなさい」という設問を見たことがあると思います。
いわゆる「選択問題」というものです。
選択問題には、他にも空欄にあてはまる「接続詞」や「副詞」を選ぶものなどがあります。
「なんとなくこれかな」と解いていて合っていた場合、本番で失敗してしまう可能性があります。
高校入試の国語は、自分の感覚で解くのではなく、論理的に選ぶことで安定して得点が取れるようになります。
選択問題で論理的に選ぶためのコツをマスターして、国語で安定した得点が取れるようになって欲しいと思います。
説明的文章の選択問題の解き方のコツ
説明的文章は名前のとおり、ある事柄について説明をし、筆者の考えや意見を伝える文章です。
読み手に対して理解してもらう必要があるので、筆者の言いたいことが繰り返す出てくることが多いです。
また、説明的文章は型がある程度決まっているので、読み進めながら型どおりかを確認していくと良いでしょう。
段落と段落の関係
説明的文章をパッと見てみると、多くの段落から成り立っていることに気がつくと思います。
長い説明的文章を読んでいると、何が書いてあるのか分からなくなってしまう人がいます。
高校入試の説明的文章を読んで、全体を一気に理解しようとすると、大人でも難しいことがあります。(それほど難解な文章が出題されています)
そこで、段落ごとに内容を確認していきます。
「この段落には◯◯のことが書いてあり、筆者の考えがあった」とか、「この段落は例しか書いてなかった」という具合に内容把握をしていきましょう。
1つの段落の内容を把握したら、それに続く次の段落を読んでいきますが、ここで段落と段落の関係をしっかりと掴むことがコツです。
特に段落の最初の言葉に注目してみましょう。
「しかし、〜」とあれば、前の段落と反対の内容が出る可能性が高いですし、「たとえば、〜」とあれば、前の段落の例が出る可能性が高くなります。
もちろん最初の言葉だけを頼りにしてはいけませんが、段落と段落の繋がりを把握出来るようになると、説明的文章を理解しやすくなります。
選択問題の答えの場所探し
説明的文章の選択問題の解き方のコツについて確認していきます。
まず、設問で聞かれていることをしっかりと確認して下さい。
設問文が長くなると、何を聞かれているのかが分からなくなってしまうことがあります。
何を聞かれているのか分からないのに、答えることが出来ますか?
設問で聞かれていることをしっかりと理解することが重要です。
次に、傍線部を含む一文および、その前後を確認して下さい。
傍線部の最初、もしくは傍線部の直前に「それは、その」といったような指示語がある場合、傍線部の前に重要なことが書いてあるケースが多いです。
傍線部の最初や直前に指示語があるケースは、問題のパターンとして非常に多いので確認をしましょう。
また、傍線部の直後の一文にも注意して下さい。
傍線部の直後の一文の最初に、「なぜなら、それゆえ」といったような接続後がある場合、傍線部の理由が書かれている可能性が高いです。
設問で傍線部の理由を問われている場合、答えが書かれているかもしれません。
最後に、傍線部の近くに設問の答えが見つからない時は、段落毎に把握した内容で同じようなことがあった段落の確認をして下さい。
最終段落にある傍線部の答えは、最初の段落にあるケースが多かったりします。(逆に、最初の段落にある傍線部の答えが、最終段落にある場合もある)
説明的文章には型があるので、多くの文章を読んでいると答えの場所を見つけやすくなると思います。
選択問題の選び方
さて、答えの根拠となる場所を見つけたら、選択肢から「最もふさわしいものを選ぶ」作業に入ります。
ここでポイントとなるのは、「最もふさわしいもの」とあることです。
選択肢の中には「ふさわしいもの」がいくつかあるケースがあります。
そこで、まずは選択肢の中から確実に間違っているもを消去していきましょう。(消去法)
4択の問題であれば2択までは簡単に絞れることが多かったりします。
確実に間違っている選択肢というのは、「本文に書いてあることと違う」「本文に書いてない」ものです。
残った選択肢を見て、正解を選ぶことになります。
ここで注意することとして、「説明不足」「言い過ぎ」「関係ない」の3点を細かく分析することです。
本文に書いてあったことの一部しか選択肢にないもの、本文に書いてある以上のことが選択肢に含まれているもの(「絶対・全て・必ず」など)、本文には書かれているが傍線部と関係ない内容が選択肢に含まれているものは間違いです。
問題を作成する人は、細かい部分に誤りを入れてくるので、残った2つの選択肢はよく吟味する必要があります。
説明的文章の読み方と選択問題のまとめ
ここまで書いてきた、説明的文章の読み方と選択問題の解き方をもう一度確認してみましょう。
- 段落と段落の関係に気をつける
- 傍線部の前後に注目する
- 説明不足、言い過ぎ、関係ない選択肢を消去する
選択問題だけに限らず、国語の読解問題では文章に書いてある内容から答えを導き出す必要があります。
設問に「自分で考えて意見を述べよ」とある場合は少し違いますが。
練習で説明的文章の問題を解く際、文章中にある答えの根拠となる場所探しを常に行うようにして下さい。
慣れてくると意外と答えの根拠となる場所がすぐ見つかるようになるかもしれません。
小説的文章の選択問題の解き方のコツ
小説的文章は、ある小説文の一部が抜粋されて使われていることが多いです。
そのため、最初に「ここまでのあらすじ」が書かれていることが多々あります。
この「ここまでのあらすじ」が意外と重要で、登場人物が全員書かれていたり、登場人物の人間関係が書かれていたりします。
必ず「ここまでのあらすじ」を確認してから、文章を読むようにしましょう。
いつ・どこで・誰が・どうした
小説的文章を読んでいく際、特に注意する必要があるのが「いつ」「どこで」「誰が」「どうした」の4点です。
選択問題ではないかもしれませんが、「この文章を3つの場面に分けると2つ目の場面はどこからどこまでですか」といったような問題がよく出題されます。
場面分けをする基準となるのが、「時間(いつ)」「場所(どこで)」「登場人物(誰が)」のどれか、もしくは2つ以上が変わった箇所です。
特に多いのが「時間(いつ)」となります。
時間には「朝・夜」「昨日」「夏の頃」「1年前」といったように、本当の時間でありませんが「時」を表す言葉が出てきていると思われます。
最初に文章を読む時に「時間」に関する言葉があったら印をしておきましょう。
「どうした」に関しては、主人公の気持ちに関する問題で根拠となる場合が多いです。
主人公の気持ち(心情)
小説的文章では、主人公の気持ちに関する問題が多く出題されます。
「傍線部の時の主人公の気持ちを選びなさい」といったような問題で、「主人公の気持ちを選ぶ」ことに意識が向いてしまうと間違える可能性があります。
理由は、「こんな時私なら◯◯だな」といったように自分の感情が入ってしまうことがあるからです。
気持ちを選ぶ問題は、その前に「出来事(どうした)」があるはずです。
人間の気持ちというのは、「出来事(どうした)」があって発生するものなので、いきなり気持ちが変わることはないでしょう。
まず、傍線部の前にどんな出来事があったかを確認しましょう。
たとえば、先週のテストが返され30点(100点満点)だったといったことがあったとします。
そうすると、主人公の気持ちは「悲しい」「がっかりした」「恥ずかしい」など悪い気持ちだと分かるでしょう。
次に、主人公の「表情」「動作」「発言」を確認しましょう。
「目に涙をためて」「下を向きながらとぼとぼと」「自身あったのに…」といったような箇所があれば、主人公の気持ちはやはり悪い気持ちだと分かります。
最後に、具体的に書かれている箇所があるか確認してみましょう。
「◯◯は悲しい気持ちで家に帰った」といったような箇所があれば、気持ちは分かりますね。(ただ、具体的に気持ちが書かれていないケースが多いです)
主人公の気持ちを問われている場合、とにかく出来事に注意することが重要です。
選択問題の選び方
小説的文章でも選択問題は出題されます。
選び方のコツは説明的文章とほぼ同じです。
「説明不足」「言い過ぎ」「関係ない」の3点に注意をしましょう。
また、小説的文章では文章中に書いてない(はっきり分からない)ことが選択肢に含まれるケースが多くあります。
はっきり分からないことが含まれている選択肢は消去しましょう。
主人公の性格、出来事に注意をして根拠となる箇所を探すのがコツです。
長い文章の場合、どこにどんなことが書いてあったかを大まかに覚えておき、問題を解く際に細かく読み直しをすると良いでしょう。
小説的文章の読み方と選択問題のまとめ
ここまで書いてきた、小説的文章の読み方と選択問題の解き方をもう一度確認してみましょう。
- 「時間(いつ)」「場所(どこで)」「登場人物(誰が)」「どうした」に注目する
- 出来事があって気持ちが発生する
- はっきり分からない選択肢に注意する
説明的文章でも小説的文章でも、文中に書いてあることから答えを導き出します。
説明的文章に比べ、小説的文章には型がないので、少し難しいかもしれません。
そこで、「先読み」をしながら読んでいくことをおすすめいたします。
「先読み」とは、今読んでいる内容からすると、「この先はこうなっていくのでは」と頭の中で考えながら読むことです。
「先読み」をする癖をつけると、文章を集中して読むことが出来るようになるので、書いてある内容が頭に入りやすくなります。
読書をする時に練習しておくと、更に効果的だと思います。
まとめ
高校入試の国語で安定した得点を取るために、選択問題の解き方のコツを掴むことが重要となってきます。
文章中の根拠となる場所探しをすることで、選択問題の正答率が高まります。(自分の感覚で解いている人は、根拠探しをするようにしましょう)
根拠となる場所を探すためには、大まかにどこにどんなことが書いてあったかを覚えておく必要があります。
説明的文章と小説的文章では注意しながら読む点が違います。
それぞれ問題を多く解いて、練習をすることによりコツが掴めるようになると思います。
国語は中学3年生になる前からでも、入試問題を解くことが出来る科目です。(漢字や知識を除く)
中学1〜2年生であっても、国語の文章題を論理的に解く練習をしていきましょう。