前回までの歴史の学習に比べ、覚えることが非常に多い「平安時代」
ここから歴史を苦手としてしまう人が増えてきます。
中学受験の勉強の場合、平安時代を1週間で学習することになるので、大変なのはよく分かります。
長期休みに復習することを前提に、出来る限り覚えるようにしていきましょう。
高校受験の場合、平安時代の学習が1週間で終わるということはないでしょう。
それでも、今までの時代に比べ覚えることが多いので苦戦する人が多くいます。
覚えないといけないことをノートにまとめながら、出来る限りこの機会に覚えてしまいましょう。
前の時代中学・高校受験の社会の歴史(飛鳥・奈良時代のポイント)
平安時代
794年〜1185年頃
- 桓武天皇が都を平安京に移す(794年)
- 仏教勢力の強い奈良から都を移し、律令政治を立て直そうとした
- 784年に長岡京に都を移すが、不吉な事件が続いたため平安京に移した
- 平安時代は約400年
東北地方の平定
蝦夷:朝廷に従わない東北地方に住んでいた人々
征夷大将軍:蝦夷征伐の将軍
坂上田村麻呂が征夷大将軍となり、蝦夷征伐に向かった。
→坂上田村麻呂は蝦夷の指導者アテルイを破り東北地方平定の道を切り開いた
貴族による政治
- 9世紀になると貴族の力が強まる
- 中心は藤原氏(藤原鎌足の子孫)
- 藤原氏が行った政治を摂関政治という
※摂関政治:藤原氏が摂政と関白になり行った政治
※関白:成人した天皇の代わりに政治を行う役職
摂関政治
- 藤原良房が摂政となる
- 藤原基経が関白となる
- 藤原道長・頼通の時代が全盛期
- 他の有力貴族を追放した
- 多くの荘園を持っていた
- 自分の娘を天皇の后にして、天皇家との関係を深めた
※「学問の神様」として知られる菅原道真も藤原氏によって太宰府(九州)に流された
地方の乱れ
- 荘園の開発がさかんに行われた
- 不輸の権(税を取られない権利)が与えられた
- 不入の権(役人の立ち入りを認めない権利)が与えられた
- 国司(地方の長官)の中には不正をはたらく者もいた
- 尾張国(愛知県)の国司であった藤原元命は、悪政を行ったため郡司や農民に訴えられた
武士の活躍
地方が乱れると、各地で武器を持って戦うことを専門とする武士があらわれるようになった。
清和天皇の子孫である源氏と桓武天皇の子孫である平氏が力をつけ、のちに政治を動かすようになった
武士の反乱
10世紀〜12世紀に武士が活躍する争いがおこった。
10世紀
①平将門の乱(935年)
平将門は関東地方を制圧し、自分のことを「新皇」と名乗った。
②藤原純友の乱(939年)
伊予国(愛媛県)の役人であった藤原純友が、瀬戸内海の海賊とともに反乱をおこした。
11世紀
①前九年の役(1051年)
②後三年の役(1083年)
源義家が活躍する。
東北地方の豪族がおこした戦いを平定するため、源氏が活躍する。
※後三年の役の後、東北地方では奥州藤原氏が平泉を中心に勢力をのばした。
※平泉には、奥州藤原氏が建立した中尊寺金色堂がある
12世紀
①保元の乱(1156年)
京都で後白河天皇と崇徳上皇の対立から、藤原氏・源氏・平氏が一族内で敵味方に分かれて戦った。
後白河天皇方の勝利。
②平治の乱(1159年)
後白河天皇方についた平清盛と源義朝が争う。
平清盛が勝利。
上皇による院政
白河天皇がおさない息子に天皇の位をゆずって、白河上皇となった。
上皇の住まい「院」で政治を行ったことから、上皇が行う政治を院政と呼ぶ。
院政が行われていた時代、比叡山延暦寺(滋賀県)などの僧が武装して朝廷に押し寄せることがあった。
武装した僧を僧兵と呼び、白河上皇をなやませた。
対策として、上皇は源氏や平氏などの武士に身の回りを守らせた。
武士の政治
保元の乱・平治の乱に勝利した平清盛は、朝廷内の地位を上げていった。
- 武士として初の太政大臣になった
- 大輪田泊(神戸)を整備し、日宋貿易を盛んにした
- 厳島神社を整備した(「平家納経」がおさめられている)
- 天皇家と関係を深めた(藤原氏と同じ)
平氏の政治は、一族で高位・高官を独占し「平家でなければ人ではない」といわれた。
こうした平氏に対して、不満が広がっていった。
平安時代の外交
遣唐使の廃止(894年)
菅原道真の意見によって飛鳥時代から続いた遣唐使が終わった
- 唐で内乱が続き、国の勢いがおとろえた
- 東シナ海を通る遣唐使のルートが危険だった
日宋貿易
10世紀の初めに唐が滅び、宋が建国された。
- 平清盛が日宋貿易を盛んにした
- 宋からの輸入品 貨幣(宋銭)
平安時代の文化
平安時代の文化は「唐風文化」「国風文化」「浄土教文化」に分けてまとめると覚えやすいと思います。
唐風文化
新しい仏教の宗派
宗派 | 開祖 | 山 | 寺 |
天台宗 | 最澄 | 比叡山 | 延暦寺 |
真言宗 | 空海 | 高野山 | 金剛峯寺 |
国風文化
遣唐使の廃止により、唐との関係がうすくなり、日本風の文化が栄える(国風文化)
- かな文字(ひらがな・カタカナ)
- 源氏物語(紫式部)
- 枕草子(清少納言)
浄土教文化
浄土教とは、「南無阿弥陀仏」と唱えることで死後、極楽浄土にいくことが出来るとする教え。
各地に阿弥陀仏をまつる阿弥陀堂が作られた。
摂関政治の全盛期、藤原頼通によってつくられた平等院鳳凰堂(京都府宇治市)が有名。
まとめ
平安時代の歴史からいっきに覚えることが増えてきます。
大まかな流れを掴むようにしながら覚えていきましょう。
平安時代の大まかな流れは、「貴族の政治→院政→武士の政治」です。
貴族の政治は藤原氏が中心となって行ったので、合わせて摂関政治を覚えるようにします。
次に院政が行われるようになりますが、その時代に僧兵が出てきて身の回りを守らせるために武士が都で活躍するようになります。
武士の中で保元の乱・平治の乱に勝った平清盛が武士として初の太政大臣となり平氏の政治が行われるようになりました。
歴史には流れがあるので、流れを掴むことで暗記がしやすくなります。
ただ闇雲に覚えるのではなく、工夫をしながら覚えていくようにしましょう。